「すずらん祭」のストーリー

五月一日のメーデーは、また初夏の陽ざしのもとで恋人たちが花を贈りあうすずらん祭の日でもある。電気屋のジャン(イヴ・モンタン)は、妻のテレーズ(ベルナデット・ランジュ)のお産がどうやら今日らしいというので、息子のフランソワ少年(イヴ・ノエル)をつれて、男は邪魔だといわれてフットボール試合を見に行くことになった。電話交換手をしているジャンの妹のアニー(ニコール・ベルジェ)は恋仲のジャンの助手ジルベールとすずらん祭の野外ダンス・パーティに出かけた。フットボール試合を見に行く途中で、ジャンは昔工場でいっしょに働いていた旧友ブランショに会った。彼は立派な自動車に乗っていて、前に借りていた金を返すからと親子をコロンブス通りの秘密賭博場にさそった。フランソワを外で待たせて、ジャンはブランショの巧い誘いによってルーレットをためしてみた。妻のお産で、彼もお金が必要だったのである。そこに警察の手入れがあった。ブランショのカモとなるのはまぬがれたものの、ジャンは身分証明書を持っていなかったことから警察に留置された。フランソワが父の言いつけで、そっと書類をとりに家にかえることになった。一人でタクシーをひろおうとしている少年を、お祭のすずらんの花を配達するトラックの運転手(アルド・ファブリッツィ)が見て、車にのせてくれた。帰ってみると家では、母が難産で大騒ぎをしていた。やっと母を救急車で病院に送りだして、フランソワは書類を父にとどけた。親切な運転手のおじさんの手助けで、親子は病院の母のもとにかけつけることができた。心配された難産も、どうやら無事にきりぬけて赤ちゃんが生れ、フランソワには妹ができた。アニーとジルベールもそろって、はじめて一家は安心して、すずらん祭おめでとうを言いあうのだった。