「ジェット機M7号」のストーリー

英国空軍基地ポート・アンバリイの秘密研究室では最新説機M7号の完成が急がれていた。その発明者ヒースレイ(ジェームズ・ドナルド)は、機密保持のため愛妻リディア(フィリス・カルヴァート)さえも遠ざけており、研究員の一人アレックス(ハーバート・ロム)は、淋しい気持を抱くリディアに同情と秘かな愛情をよせていた。研究に夢中のヒースレイは所長の反対をおしきって危険な試験飛行を行わせ、そのため指揮官が惨事で一命を失った。所長はヒースレイに試験飛行を禁止した。その頃ヒースレイはリディアとアレックスのスキャンダルを耳にしたが、アレックスの口からリディアが誠実な妻であることを確めた。一方、研究室付の医師ボードはM7号の国外拉致を企んでいた。彼は某国スパイの手先で、先の試験飛行の失敗も実は彼の仕業だった。ボードは高空の人体に及ぼす影響を調べるという医学上の理由で、ヒースレイに試験飛行に同案させてくれと要求した。ボードの執拗な要求を容れたヒースレイは彼を同乗させて試験飛行を敢行した。機が成層圏に達するや、ボードは拳銃をヒースレイにつきつけ、M7号を他国へ誘導しようと図った。ヒースレイはこの脅迫に敢然と対抗し、二人の言い争う声は電波に乗って基地に伝わっていた。所長はじめ全員はヒースレイ救助に万全を期した。M7号内は徐々に空気が稀薄となり、二人とも呼吸困難になった。その時ヒースレイは妻の励ます声を聞いて意識をとりもどし、ボードは落した拳銃を拾おうとして酸素吸入管が切れ、絶命した。ヒースレイはM7号の性能を再確認するとともに、成層圏飛行の最高記録を樹立した。基地でM7号の帰還を待ちわびるリディアの顔には喜色があふれていた。