「黄金(1948)」のストーリー

1920年のことである。シエラ・マドレの山脈を西北に望むメキシコのタムピコの港で、運に見放されたあぶれ者のアメリカ人が二人落ちあった。一人はダッブスという男ざかり、一人はやや若いカーティンだ。建築工事があるというので、早速汗を流したが二人とも賃金はもらえず、宿屋とは名ばかりの薄汚い小屋で、顔見合わせて苦笑いした。そしてハワードという老人の山師がマドレの山の中に金があると話しているのを聞いた。ダッブスとカーティンはだまされた気でハワードに案内させる。というのはダッブスが富くじで少しばかり当てたので、それで必要な道具と食糧を買い、山が当たれば三人山分けと決めた。タムピコからデュランゴまで鉄道で行ったがそれからはロバの旅であった。不思議な運のよさで、三人は金を掘り当てたが、それからというもの、ダッブスは他の二人を疑いの眼で見て夜もおちおち眠れない。そこへ得体の知れないコーディと名乗る男が、ひょう然と風の如くに訪れて来て、仲間に入れてくれと資本金を出し、テコでも動かない。ところが、突如ゴールド・ハットを頭目とする23名の山賊が襲って来た。その戦いで三人はからくも命は助かったが、不意打ちを食ったコーディは殺されてしまった。この事件でダッブスの神経はいよいよとがって来たし、その気持はカーティンにもうつって、三人の仲間は猜疑の眼でにらみ合いを続けるばかりだ。その間にも砂金は袋に一杯となったので、ともかくも山を去ろうということになる。帰りの山路は難渋を極めたが、そのうえ途中でチインディアンの群につかまった。幸にも無害な種族で、少年の急病を治してくれというのだった。ダッブスの骨折で、少年は助かり全集落の信任を得たけれども、彼の仲間に対する猜疑は強まるばかりだった。ついにダッブスとカーティンは射ち合った。カーティンは傷ついたまま捨てられ、ダッブスは宝を一人占めにして山を下ろうと難儀を続けた。山賊のゴールド・ハットは待ち伏せして、ダッブスを刺殺して彼の砂金袋を奪ったが、袋を切りさいて出た砂金を金とは知らず折からの強風に金の砂を吹き飛ばしてしまった。一方カーティンは息を吹き返し、ハワード老人のところにからくもたどり着く。そしてゴールド・ハットがダッブスを殺し、砂金を風に吹きちらかし、悪運つきて官憲に捕らえられたという話を一緒に聞いたハワード老人はカラカラと笑いながら、カーティンにさとすようにいった。人生ってものはお笑い草だよ、とりわけ金が絡んだとなりぁ、きっとお笑い草に終わるんだ。