「黄金(1936)」のストーリー

19世紀の半ば近くスイス人ジョン・サッターは、家族を国に残し新しい天地を求めて紐育へ渡った。そこで彼は友人ピート・パーキンと共に西部へ移住する決心をなし、航路をとってサンドウィッチ島を経由し加州に向かった。その船には布哇の奴隷を乗せていたが、途中大暴風雨に遇って飲料水タンクを破壊したため、過酷な船長は奴隷達を海中に投げ込もうとした。この為船中には暴動が起こり却って船長は監禁され、船は無事モントレイに到着した。知事アルヴァラドはサッターに広大な土地の所有を許したので、彼これをニュウ・ヘンヴェチアと命名し、それから三年間苦しい開拓に従事したが、資金の缺乏と収穫不良のため窮した。然しこのときロシア船ヘレナ号が投錨し牛皮と交換で種々材料を提供したので、サッターは段々富を得るようになった。ロシア人との宴会の席で、彼はロシアの伯爵夫人エリザベスに合い二人は恋に落ちた。こうして四年の歳月が経ち、サッターは富と勢力を得て強力な軍隊まで組織するに至った。自然知事との折り合いは面白からず、アルヴァルドは加州から外国人退去の命を下したので、サッターは彼は彼との一戦を覚悟した。知事のメキシコ軍隊はサッターの要塞に発砲したが、彼の率ゆる米軍に敵し難くメキシコ軍は撃退され米国旗は燦として要塞の上に輝いた。その頃再びサッターの客となったエリザベスは彼に結婚を求めたが、これを知ったパーキンはサッターは国に妻子がある事を告げた。それ以来彼はパーキンの仲は不和となった。彼は秘密を保とうと努めたが何時の間にか皆の知る所となり、人達は黄金熱につかれサッターの兵士や下僕まで狂気の如く金銭へ殺到した。こうして今は彼を顧みるものもなく、金銭も財産もすっかり他人に荒らされて、サッターは財政窮乏し権勢は地に墜ちた。その後間もなく彼の家族が加州に来て彼と再会した。勇気を取り戻したサッターの闘志は再び燃え上がり、パーキンとの旧交を温め共にワシントンに来て、暴徒に強奪された財産の回復を謀ったが、志成らず、尾羽打ち枯らし路頭に迷い、隊に国会議事堂の石段の上に、数奇な一生を終わった。