「赤いブーツの女」のストーリー

フランソワーズ(C・ドヌーブ)は若いが才能のある作家だった。だが誰も彼女を作家だとは思わないだろう。金髪の美人で、そのセクシーな肢体は女優といってもおかしくないくらいだ。彼女は若い画家の卵リシャール(J・ウェーベル)と、友人とも恋人ともつかない曖昧な状態で同棲していた。ある冬の日、町の書店に立ち寄ったフランソワーズは、その書店で見知らぬ男が自分の小説の事を問い合わせている状況を目撃した。その「秘密」という小説は、内容が難解なためあまり売れず、出版社もそれほど積極的な姿勢を示さなかったものだった。フランソワーズは自分の著書に興味を示した男に関心をもった。その男は、雑誌社を経営するマルク・ビリエ(A・M・メルリ)だった。さらにこの情景をじっと車の中から見つめている一人の初老の男があった。株式仲買人のペルー(F・レイ)である。彼はこれ以前、偶然に街のカフェでフランソワーズを見ているとき、おかしなことがあったのだ。コーヒーを飲もうとしているペルーの眼の前にフランソワーズが現われた。「お金をちょうだい、いいものを見せてあげるわ」というなりいきなりマントを開げるとその下は何も着けていなかったのだ……ひょっとするとあれは幻想だったのかも知れないのだが、以来ペルーはフランソワーズの魔術にかかったように彼女を尾けまわしているのである。そのペルーという男は芸術にコンプレックスをもっている男で、芸術を憎悪し嫉妬しているが逆に激しい憧れももっていた。その病的なコンプレックスの裏返しとして彼は芸術家を金で支配できると考えていて、それを実践してした。今、ペルーはフランソワーズにそのような倒錯した愛を抱きはじめたのである。彼はフランソワーズがマルクに興味を持ったことを知り、自分の運転手を使って次々に手を打たせる。その結果、マルクはフランソワーズと強引に結びつけられ、そのゴシップは彼を破滅させる。つまり、錯覚から自分の妻を射殺し、さらに出版社主の立場を追われたのである。やがて、ペルーによってフランソワーズ、マルク、リシャールの三人が彼の別荘に集められ、奇妙な同居生活を始めることになった。実はこの別荘は、ペルーが数人の芸術家を集めて創造させたあげく、殺害してしまったという凄惨な秘密をもっている場所だった。フランソワーズも次の被害者になるはずだったのだが、彼女の超能力がそれを見抜いていたため、ペルーはついに自滅してしまう。今、二人の男を選ぶ立場に立たされたフランソワーズはクジを二本つくり、それによって決めた。彼女はリシャールを選ぶと、リシャールの描いた絵画の中に手をとって消えて行った……。