「オール・ザット・ジャズ」のストーリー

大勢のダンサーたちがオーディションを受けに集まるブロードウェイの一角。ジャズのリズムに乗って、ステージの上をきたえられた肉体と肉声が躍動する。その彼らの動きを厳しい表情で見守る1人の男がいる。ブロードウェイの演出家・映画監督として知られるジョー・ギデオン(ロイ・シャイダー)だ。ジョーは、幼ない頃からボードビル劇場でタップを踏んでいた根っからのショー・ビジネスマンだ。その毎日は、酒と女とヘビースモーキングとステージに明け暮れ、目ざめとともにシャワーを浴び、ビバルディのレコードを聞きながら多量の薬と目薬を保給するというのが習慣になっていた。そして、鏡に向って、自分に語りかけるのだ。“イッツ・ショー・タイム”と。今、彼が手がけているショーの主演女優は、彼の別れた妻オードリー(リランド・パーマー)で、ふたりの間にはミシェル(エルツェベット・フォルディ)という娘がいた。ミシェルにバレエのレッスンをしてやる時が、ジョーにとっての唯一の時だった。この新作のショーは、ジョーの同棲中の女性ケイト(アン・ラインキング)が出るなど、彼の人生のすべてのものを盛り込んだ、集大成ともいえるものだ。新しいアイデアが浮かばず苦悩することもしばしばあるが、プロデューサーたちが眉をしかめるようなセクシーな振りつけをつけて満足する時もあった。そんなある日、ジョーは、不規則な生活と過労のため倒れてしまった。心臓の切開手術を受けながら、ジョーは無意識のうちに自分の人生を回顧していた。そして、かつて出会ったさまざまな人々の前でジョーの過去が一大ミュージカルとなって繰り広げられていく。一方、ジョーの生活に、いつも影のようにつきまとう女性がいた。花嫁衣裳をまとった浮気なショーガールを装う美しい天使(ジェシカ・ラング)だ。彼女はまた死の象徴として、ジョーの告白を聞き、暖かい愛の力で彼を包みこんでいた。死と向かいあった病床で、ジョーは、ショーヘの未練やさまざまな人間たちとの関わりを考える。いま彼は、自分の死すらもショーとして演出していたのだ。そんな彼を祝福するかのように、エセル・マーマンが歌う“ショーほど素敵な商売はない”のメロディが響くのだった。

今日は映画何の日?

注目記事