「えんじと富」のストーリー

ヴァージニア州の名家バトラー家は、今は落魄した生活をして居る。当主なるベッキーは、まだうら若い身の、貧しい生活に耐えかね、コーラス・ガールが富豪と結婚した新聞記事を見て、我身も一躍玉の輿に乗ろうと紐育へ出でブローウェイの劇場に雇われる事と成った。その一座にはドドと云う女優が居たが、ベッキーを恋敵と誤解し彼女や一座の男優トムを敵視して居る。そのドドが或夜殺されて居たので、容疑は自然トムの身に懸って、彼は罪も無いのに引致されたが、彼はベッキーを渦中に入れるのを恐れて沈黙を守って居た。ベッキーは富豪ウィリスからの結婚の申込みを承諾しようとした折柄、トムが我が身を愛する為甘じて刑を受けようとして居るを知り、彼が無罪の証言を提供して晴天白日の身と成った。そして、金なくても、真の幸福は得られるものなるを悟って一介無力の青年トムと楽しき家庭を作る。