「エル・ノルテ 約束の地」のストーリー

中米グァテマラ北部に住むインディオの小作人たちは、地主の圧制に苦しみながらもいつかは自由な暮らしを夢見ていた。エンリケ(デイヴィッド・ヴィラルパンド)とロサ(ザイーデ・シルヴィア・グチエレス)の兄妹も例外ではなく、エル・ノルテ(北=アメリカ)への思いを募らせていた。そんなある夜、彼らの父は村はずれの廃墟での密会に出席したところ、政府軍によって惨殺され、また母も軍隊に連行されたまま行方不明になってしまう。身の危険を感じた兄妹は、村を捨て北へと行くことを決意する。メキシコのティファナに到着した2人は、国境案内人に騙され密入国に失敗するが改めてメキシコに戻ったエンリケは、村人ラモンの紹介でライモンドという案内人をたより、ドブネズミが這い廻る地下水道をくぐりぬけ苦難の末アメリカ入国に成功する。ロスで生活を始めた2人は、初めこそこの国の社会システムに戸惑うが、やがてエンリケはウェイターの、ロサは家政婦の仕事を見つけ、生活は次第に豊かさを増し充実してゆくのだった。折からエンリケはシカゴでの仕事を依頼されるが、妹の同行が許されないこともあり、一旦はこの仕事を断るが、エンリケの出世を妬む同僚の密告で彼の勤めるレストランに移民局が踏み込んで来たことにより失職、改めてシカゴ行きを考慮する彼に、ロサがチフスで重体との報が入り岐路選択に苦悩する。病床で目覚めたロサは、隣にいる兄の姿を認め安らかに息を引き取るのだった……。