「友よ静かに死ね」のストーリー

1945年、パリにはまだ戦争の傷跡が残っている。さわやかな風の吹き抜ける木立ちの中、シトロエンを磨いている男達がいた。彼らこそ、今をときめく神出鬼没の犯罪をくりひろげているシトロエン・ギャングだった。この日もまた元気よく仕事に出た彼らだが、帰って来た時は、いつもと違っていた。ジョー(ザビエル・デプラス)が、ロベール(アラン・ドロン)の恋人マリネット(ニコール・カルファン)のもとへ駈けていく--。彼女がロベールと知り合ったのは1年前、彼女が働くバーで彼がアメリカ兵と喧嘩を演じた時だった。以来、彼女は彼の本業を知りつつも、彼の仲間の友情と、我が子同様に彼の面倒をみて来たフェリシア(ラウラ・ベッティ)の優しさにふれ、そして彼らにとけこんでいった。シトロエン・ギャングの手口は大胆不敵、常に警察をケムに巻き、仕事はスムースに進んでいた。静かなある日、レイモン(ローラン・ベルタン)の子供の洗礼式が、彼らの大先輩で今は隠退しているコルネリウス(レイモン・ビュシェール)の世話で行なわれ、その後パーティが始まった。場所はアジトのスカンボ亭。宴も終わりに近づいている頃、彼らをパリ警察の捜査網が包囲している。マリネットとレイモンをフェリシアの家に送り届けて来たロベールは、木立ちの陰の警察隊を発見した。すでに彼らの包囲から脱出する方法はない。ロベールに一案ひらめいた。県警にギャングの襲撃をうけていると電話し、急拠かけつけた県警が包囲している警察と同士討ちを始めたのだ。その間に闇の中を逃げる一行。再び、銀行を襲う日がやって来た。あいかわらずの手ぎわの良さで銀行強盗はやり終えるが、ロベールはマリネットへのプレゼントに向いの宝石店に押し入り、女主人に撃たれてしまった--。ジョーの知らせで、ロベールのもとに駆けつけるマリネット。彼はニコリとほほえんで息を引いた。翌朝、彼の埋葬が行なわれた。呆然と立ちすくむマリネットに、ジョーは近づき、ロベールが宝石店より盗んできたブレスレットを静かに彼女に手渡すのだった。