「英雄榜」のストーリー

大東亜戦争末期、日本の特務機関から福建省に派遣されていた政治結社黒竜会の首領宮本は中国古来の武術家(少林寺拳法)たちに大きな力をふるっていた。こうしたなかで、「刃心門」の師雷天華は、決して日本人に心を許さず、彼の娘(麗英)、息子(向華強)と共にひっそりと武芸を練っていた。けれども、天華はもはや老齢。一門の頼みは、たったひとり残った弟子・鄭士宏だけとなっていた。天華の弟子であった沙虎は宮本の手先となり、日中対抗武道大会を催して、雷一家を手下にしようとした。試合当日、天華の弟子士宏は日本武術家を次々と破り、台湾籍・向雄という日本人の若い通訳七官と対決する。向雄は、わざと勝を士宏に譲り、士君は武道師範の役を得、沙虎の策を無にする。そこで沙虎は「関東軍の三勇士を歓迎す夕」という野外パーティを催し、士宏を恐らせる。土宏はまんまとワナにはまり乱闘となるが維持会長の娘、玉蓮に助けられる。一方沙虎はゴロツキや日本人武術家を連れ雷家へ乗り込み、三日以内に士宏を出頭させろと命令する。そのあと士宏がやってくるが、老師は逃げろといい、士宏は麗英と隠れ家をさがす。その途中、士宏は向雄と出会い二人は激しく闘うが、向雄は自ら身を引いて「オレの家へ身を隠せ」という。追いつめられた士宏は、その言葉に従い、向雄の生い立ちを聞き、「二人で手を合わせて志を達成しよう」と誓うのだった。三日後、沙虎は再び雷家を訪れ、天華と息子を殺し、娘の麗英を宮本のところへ連れていく。そこへ、向雄があらわれ、麗英を逃がす。宮本は向雄に「日本を裏切るのか? 台湾の母親はどうなる?」とおどすと、向雄は自害する。そのあと、土宏は宮本の家をおとずれ宮本、沙虎を倒し、老師と向雄の仇を討つ。士宏と麗英は手を取り本当の敵を討つため、玉蓮の見送りのうちに旅立つのだった。