「ジャズメン」のストーリー

黒海に面した港町オデッサ。ソビエトが1917年の革命を経た20年代の中頃のこと。音楽学校でピアノを学んでいたコースチャ・イワノフ(イーゴリ・スクリャール)は、アメリカ南部で生まれたジャズ音楽に心を奪われていた。ジャズピアニストを目ざし始めた彼は、しかし学校側から「ブルジョワ音楽の手先」と決めつけられ、学校に残るかジャズを選ぶかの選択を迫られる。そしてジャズを選んだ彼はあっさり学校を去った。一方、失業して辻音楽士をしていたスチョーバ(アレクサンドル・パンクラートフ・チョールヌイ)とジョーラ(ニコライ・アヴェリュシキン)は町でコースチャと知り合い、三人でジャズ・バンドを作ることになった。ジャズが何であるかも知らないスチョーバとジョーラは、コースチャから指導を受け、三人は初めて野外演奏会を試みるが、観客からそっぽを向かれてしまった。気を落としあわや解散という時、ホテルの演奏会にかり出され歓喜する。が、その主催者は泥棒のボスで、泥棒ともども彼らも投獄されてしまった。しかしそこで、泥棒の一人でサックス奏者のイワン・バヴーリン(ピョートル・シチェルバコフ)と意気投合した彼らは、四人で組むことになり、本格的にバンドに励み出した。モスクワで、オデッサ出身でポピュラー歌手として人気を得ていたカーチャ(E・ツィプラコワ)と再会し恋心が盛り上がるが、ソリストとして独立した方がいいと言われ、結局ジャズバンドの仲間の方を選んだ。やがて待望の演奏の日、新聞はまた「ジャズはブルジョワ文化の手先」と報じ演奏会は取りやめになった。しかし、落胆するコーチャを仲間たちは必死で励ました。やがて、彼らのジャズヘの情熱がみのり、ソビエトに、初めてジャズが定着するのだった。