「エボリ」のストーリー

年老いたカルロ・レーヴィ(ジャン・マリア・ヴォロンテ)は、自分の部屋の壁に飾ってある彼自身が描いた農夫や子供たちの肖像画をながめながら、その人々と接した一年半のことを思い出していた。その一年半とは、政治犯としてルカニア地方に流刑されてすごした彼にとっては特別な期間だったのだ。北イタリアのトリノに生まれたレーヴィは、作家であり、画家、医者でもある文化人だが、反ファシズム活動で逮捕され、3年間の刑期で南イタリアのガリアーノに流刑されたのだ。1935年の冬、エボリから汽車に乗って深い山中に入り、バスに乗りついで終点についたレーヴィは、そこからさらにタクシーに乗ってようやく目的地の村に着いた。村の中央広場に行き村長レイジ・マガローネ(パオロ・ボナチェリ)に会ったレーヴィは、彼からこの村に流刑されている他の10人の流刑者たちと交流しないことを忠告され、政治犯として守るべき規則を指示された。彼はここで二人の医師ミリロ(V・ヴィターレ)とジビリスコ(F・カラッリ)や酔いどれの司祭トライエッラ(フランソワ・シモン)らと会った。翌朝、村長の指示に従って流刑人名簿にサインした後、村を散歩したレーヴィは村の様々な人々と知りあった。彼が医者だという噂が広まり、病気の子供を抱いた母親たちが押しかけた。夏がきて、新しい家を見つけた彼を姉のルイザ(レア・マッサリ)が尋ねた。姉に、この土地の農民たちの貧しさや中産階級が農民たちを搾取していることを話すレーヴィ。姉に励まされ絵を描き始めた彼のもとに、家政婦として近隣に住むジュリア(イレーネ・パパス)が幼い息子と共に通うようになる。やがて、彼は医師としての正式な許可を得て村人たちの信頼を強めた。36年5月、イタリアがエチオピア侵略に成功し、共産主義者2人を除く流刑者たちに恩赦がくだる。人々に送られ、雨の中、レーヴィは村を去った。