「無人の野」のストーリー

ベトナム戦争後期の1972年。南ベトナムのクー・ロン・デルタ地帯ヘの入口に当るドン・タプ・ムオイ地区。アメリカ軍は戦場にはさまれたこの地区を“無人地帯”にし、ベトナム解放軍同士の連絡を断とうとした。住民たちは強制的に戦略村に収容される。しかし、その無人の野にも人間の営みはあった。若い農民のバドー(ラム・トイ)、妻のサウ・ソア(グェン・トゥイ・アン)、二人の間に生まれたスアン・ヴー(グェン・ホン・トウァン)が、水上家屋に住み、解放軍の連絡員をつとめていた。彼らの生活はアメリカ軍のヘリコプターにおびやかされることもあった。ある日、小舟で出かけたソアは、ヘリに襲われ、あやういところでソアは水中に逃がれたが、小舟は爆破された。アメリカ側はヘリの撮影した小舟の写真を見て住民がいることを知り、ジーン中尉(ロバート・ハイ)に絶滅を命じた。その頃、連絡員の基地では隊長(ホン・チー)が、ホー・チ・ミン大統領の言葉「独立と自由より尊いものはない」を引用して、奮起を呼びかけていた。バドー夫婦の間にもちょっとしたいさかいはあったが、すぐに仲直りした。アメリカ軍のヘリは、バドーたちが育てる水稲を見つけた。夫婦は地上の待避壕に居を移し、夜間に稲刈を終えた。解放軍の攻撃が迫り大部隊が近くの林に到着する。バドーはついにアメリカ軍のへリに追いつめられて、射殺された。ソアは夫の死を目前にして銃をとり、ヘリの射手を撃ちおとした。他の連絡員たちの一斉射撃でヘリは撃墜された。ヘリにはジーン中尉の死体があり、そのそばには彼の愛妻と赤ん坊の写真が落ちていた。ソアの耳には待避壕で泣き叫ぶわが子の声が聞えてくるようだった。

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