「パラダイス(1982)」のストーリー

時は19世紀末、中東の町バグダッド。15歳のサラ(フィービー・ケイツ)は医師だった父が死んだため、従者ジェフリー(リチャード・カーノック)を従えて故国のイギリスへ向かった。途中、サラたちの小さなキャラバンは、アラブの族長ジャッカル(ツービア・タビ)が率いる一団に襲撃された。生き残ったのはサラとジェフリー、そして16歳のアメリカ人、デビッド(ウィリー・エイムス)の3人だけだった。一頭のはぐれたラクダを見つけ、とぼとぼと行く彼らの前に、砂漠の空間が広がっていた。やがて忽然と大きな岩山にぶつかった。そこには温水が岩間からふき出ており、サラは何の恥じらいもなく水浴びをする。数日がすぎた。ジェフリーが食糧を探しに行って、誤ってジャッカルの野営地に入ってしまった。デビッドが忍び込んだ時は、ジェフリーの死体が逆吊りにされていた。デビッドは弓矢を奪って洞穴に戻り、再び砂漠の中をあてもない旅に出た。突然、ラクダが走り出したと思うと、彼らの前にくすんだ城跡が出現。何日かぶりに見る緑が目にしみる。トカゲが、ウサギも山羊もいる。フルーツの木もたわわだ。清水が滝となって噴き出しているオアシスだ。歓声をあげて二人は水に飛び込んだ。水の洞穴を抜けると、向こうは海だった。その夜、デビッドが弓矢で取った肉を、サラはキャンプ・ファイアでむさぼり食べた。空には星、地上には静かな波の星。二人にとって正にパラダイスだった。サバイバル生活が始まった。家を作り、魚もとった。いつの間にか一頭のチンパンジーがまぎれ込み、サラは“ドック”(先生)と名づけた。数日後、デビッドは、サラのまぶしい体に目がくらみ、彼女に挑んだが、拒否されてしまった。いつもは彼の目の前で、平気で裸になって水浴びしたりするサラなのに。デビッドがサソリに刺された。サラは一晩中、介抱した。彼が意識を取り戻した時、サラは涙ぐんだ。二人ははじめてキスした。横になり、もつれあい、互いを感じあう。幼くも、情熱的なセックス。来る日も来る日も二人は愛しあった。やがてドックのもとにメスのチンパンジー“イブ”が現われ、そのイブが妊娠した頃、サラも体に変調を感じた。突然、二人を見つけたジャッカルが襲いかかって来た。だが、今や男として逞しくなったデビッドがサラを護り、ジャッカルを撃退した。パラダイスの生活も終らせなければならない。再び旅に出た二人の眼前にやがて小さな町が見えてきた。