「ディーバ」のストーリー

シンシア・ホウキンズ(ウィルヘルメニア・ウィギンズ・フェルナンデス)は、大変美しく、知的で、世界最高の声の持ち主といわれている黒人のオペラ歌手。しかし、彼女の見事なソプラノは、コンサート以外では聞くことができない。どういうわけか、彼女は自分の歌を決してレコーディングしないのだ。そんな彼女の大ファン、ジュール(フレデリック・アンドレイ)は、しがない郵便配達を勤める18歳の純情な青年。彼の楽しみは、カセット付きのバイクに乗ってシンシアの歌を聞くこと。そして夢は彼女といっしよに街を散歩すること……。そのシンシアがパリでコンサートを開いた。チャンスとばかりそっと客席から歌を録音するジュール。一方、元娼婦の若い娘が、ある組織の秘密をすべてカセットテープに吹きこみ、復讐を決意して逃亡するが、組織の殺し屋に殺される。彼女の死の直前に偶然居合わせたジュールは、彼のカバンの中にその告白テープが投げ込まれたのに気がつかなかった。それ以来、ジュールは、そのテープを抹消しようとする組織の殺し屋、それを追う警察などにつきまとわれることになってしまった。しかし、レコード屋で会ったアルバ(チュイ・アン・ルウ)という不思議な東洋の女の子と、彼女と暮らすゴロディッシュ(リシャール・ボーランジェ)の二人に助けられ、彼は事件から逃れることができる。しかも、それがきっかけでシンシアとの夢の触れ合いが叶うのだった。'81年に、ユニフランス主催の『新しいフランス映画を見るフェスティバル』で上映されている。