「モスクワは涙を信じない」のストーリー

1958年モスクワ。カテリーナ(ヴェーラ・アレントワ)、リュドミーラ(イリーナ・ムラヴィヨワ)、アントニーナ(ライサ・リャザノワ)の三人は、同じ女子労働者寮に住む親友同士。カテリーナは専門学校の資格獲得をめざして学ぶ努力家。リュドミーラは、明るく積極的な性格で、有名人や芸術家に出会って成り上がろうと考えている。アントニーナは良妻賢母型の控え目な人柄、同じ職場のニコライ(ボリス・スモルチコフ)との結婚は時間の問題だった。そんなある日、大学教授の伯父の留守番を頼まれたカテリーナをリュドミーラが訪れ、カテリーナを大学教授の娘に仕たて、ハイ・レベルの男性たちを家に招いた。それがきっかけでリュドミーラはアイス・ホッケー選手グーリン(アレクザンドル・ファチューシン)と知り合い、カテリーナもTVカメラマンのラチコフ(ユーリー・バシリエフ)と愛し合うようになった。しかし、カテリーナが女性調整工であることを知ったラチコフは、彼女のもとを去った。カテリーナはすでに妊娠しており、未婚の母となってひとり工場で働きながら子供を育てた。それから18年、カテリーナはモスクワの大きな工場の工場長にまでなっており、娘アレクサンドラ(ナターリヤ・ワヴィーロワ)も美しく成長していた。一方、リュドミーラは、アルコール中毒の夫グーリンとは離婚して結婚相談所に通っていた。そして、アントニーナはニコライや子供たちと幸福に暮らしていた。ある日、カテリーナは、ゴーシャ(アレクセイ・バターロフ)という不思議な魅力をもつ中年の仕上工に出会い、プロポーズされる。初めての安らぎに満ちた愛を受けるカテリーナ。アレクサンドラともすぐ親しくなるゴーシャだったが、実の父ラチコフの出現で彼は姿を消した。そしてニコライたちが必死でゴーシャを探して彼を連れ戻した。涙ながらに、カテリーナは言うのだった。“一生涯あなたを探していたような気がする”と……。