「映写技師は見ていた」のストーリー

1939年、スターリン統治下のモスクワ。アナスタシア(ロリータ・ダヴィドヴィッチ)と結婚式を挙げたばかりの映写技師イワン(トム・ハルス)は突然KGBに強制連行される。クレムリンに連れて行かれた彼は多大な報酬を保証されるスターリン専属の映写技師になる。同じ夜KGBに逮捕された隣人は妻まで連行され、幼い娘カーチャは孤児院に入れられた。夫がスターリンのために働いていることを知らないアナスタシアはしばしばカーチャのいる孤児院を訪ねるが、スターリンの寵愛を受けるようになったイワンは有頂点。KGBの将校に昇進し、カーチャ一家が住んでいた広い部屋に引っ越すが、妻が孤児院の民衆の敵の娘に会っていたことを知り、アナスタシアと口論になる。41年、独ソ戦が始まり、クレムリンの中枢部の移動のため、イワンと妻も列車で移動するが、途中アナスタシアは副首相で国家警察を掌握するベリア(ボブ・ホスキンス)に酒を飲まされたあげく犯されてしまう。2人は廃墟となったモスクワに戻るが、イワンが廃墟から拾ってきたスターリンの胸像を見てアナスタシアの怒りが爆発する。人民の苦しみも無視してスターリンを崇拝する夫に絶望した彼女は自殺する。戦争が終わり、失意の日々を送るイワンのもとに美くしく成長したカーチャ(ベス・メイヤー)が戻ってくる。イワンは償いに金を渡そうとするが断られる。53年、スターリンが死去した時、イワンに残されたものは何もなかった。