「ドーバー海峡殺人事件」のストーリー

サニー・ポイントの岬にあるアーガイル家に、一人のアメリカ人科学者が訪ねて来た。彼の名はキャルガリー(ドナルド・サザーランド)といい、南極探検の旅からもどって来たところだった。彼はジャッコ・アーガイル(ビリー・マッコール)の住所録を預かっているので返しにきたのだ。南極へ出掛ける日の前夜、彼を車にのせ、その時、彼が車内に置き忘れたらしいというと、父リーオ(クリストファー・プラマー)、その秘書グウェンダ(ダイアナ・クイック)、家政婦カースティン(アネット・クロスビー)は皆妙な顔をした。というのも、問題の夜、ジャッコの母レイチェル(フェイ・ダナウェイ)が殺され、ジャッコが犯人として逮捕されたのだ。彼はアリバイがあると主張したが、それを証明する人物が現れず、有罪を宣告されて処刑されていた。自分のせいで無実の人物を殺したと自責の念にかられたキャルガリーは、独自に調べ始める。レイチェルは独裁者的な性格で、子供たちは皆、養子ということがわかった。捜査に当ったヒュイッシュ警視(マイケル・エルフィック)は、余計なことをするなという。長女メリー(サラ・マイルズ)は母の反対を押し切ってフィリップ(イアン・マクシューン)と結婚していた。フィリップは今車椅子の生活を送り、メリーは酒びたりだった。次女のティナ(フィービー・ニコルズ)と長男ミッキー(マイケル・マロニー)は、血はつながっていないが、愛しあって同棲していた。リーオはグウェンダと関係しており、全員に殺人動機があった。はなつまみ者だったジャッコが犯人として処刑されたことは、一家にとって好都合だったのだ。キャルガリーは一家に迷惑がられながら、話を聞いて廻わった。やがてティナが殺され、フィリップが二番目の犠牲者となる。キャルガリーは皆の話を総合して、ジャッコがやはり主謀者で彼に愛を感じていたカースティンが実際にレイチェルを殺害し、ティナ、フィリップも口封じに殺したことをつきとめた。カースティンは崖から身投げして果てた。