「栄光の旅路」のストーリー

田舎町ウォーターベリーの洗濯屋の1人息子ジム・ピアソール(アンソニー・パーキンス)は、かつてマイナー・リーグの野球選手だった父ジョン(カール・マルデン)の期待にこたえハイ・スクールからボストン・レッドソックスのファーム・チーム、スクラントンに迎えられた。ジョンは自分が果たすことのできなかった大リーガー選手の夢を息子のジムに実現してもらうのを一生の念いとしていた。ジムも父の望みを遂げさせようと必死の練習を続けた。ある日、彼はファウル・フライを追ってスタンドに飛び込み、観客の若い娘に衝突した。ジムは、その娘ースクラントンの病院の看護婦メリー(ノーマ・ムーア)と親しくなった。メリーはジムの試合には必ずスタンドに現れるようになった。その年、スクラントンはイースタン・リーグ(Aクラス)のペナントを獲得、外野手として猛打を振るったジムのレッド・ソックス入りも確実となった。優勝の決まった日、ジムはメリーに結婚を申し込み故郷のウォーリーターベリーに連れ帰った。翌年、ジムはレッド・ソックスの正選になれると思っていたが、意外にもアメリカン・アソシエイション(AAクラス)のルイヴィルに送られた。がっかりしたのは父親のジョン、ジムは自分の責任のように思って心に重圧を覚えた。その年のシーズン半ば、メリーは女児を生んだが、子供の扶養、衰えてきた父母の面倒、そんなことを考えるジムは目の前が真暗になり激しい頭痛をおぼえた。しかし翌年春、ジムは待望のレッド・ソックスに加わることになった。ところが監督のクローニンがジムを遊撃に回したことからジムの心にしみついた脅迫観念が頭をもたげ出し、クローニンは自分を故意に失敗させ野球選手としての生命を断とうとしているのだと考えるようになった。ジムの頭はすっかり混乱、ダッグアウトで同僚と喧嘩したりして遂に病院に入れられてしまった。幸い病院にはブラウンという親切な医師がいて親身に世話をしてくれた。ブラウンは、ジムの脅迫観念が父親によって植付けられたものであると知り、ジョンをジムから遠去けた。しかしジョンは、ブラウンの目をかすめジムを病院から連れ出そうとした。ジムは、父親が自分を殺そうとしているんだと叫んだ。ジョンが寂しく帰った後ブラウンはジムに、父親の愛に生きようとするのは間違いで、自分の愛に生きよと説いた。ジムはやっと目が覚めた。クローニンが自分を追い出そうとしていると考えたのも全く自分の誤解だと分かった。レッド・ソックスに帰り必ず名選手になろう、こう考えると俄に世界が明るくなった。やがてジムはメリーに迎えられて退院した。彼の頭には、ボストンのフェンウェイ球場の外野狭しと走り回る自分の姿があった。