「最高の恋人」のストーリー

ニューヨーク。電気技師のガス(マット・ディロン)はリー(アナベラ・シオラ)と若くして結婚したが、向上心に燃える彼女は彼の元を去り、アルバイトをしながら大学に通っている。ガスには看護婦の恋人リタ(メアリー・ルイーズ・パーカー)がいるが、リーには慰謝料を送っている。リーは、今は大学教授トム(ウィリアム・ハート)と不倫関係にあった。ある日ガスに、廃墟になったボウリング場を買い取り、リニューアル・オープンしようという儲け話が転がり込む。しかし慰謝料に追われるガスには資金がなく、途方に暮れる彼に仲間のポープ(デイヴィッド・バリー・グレイ)は、リーの再婚相手探しを提案する。ガスはさっそくリーに「最高の恋人を紹介するよ」と持ちかける一方で、一緒に暮らしたいというリタの願いを聞き入れ同棲する決意をした。だがある夜、ガスが紹介した男とリーの間にトラブルが起こり、慌てて駆けつけた彼は、謝罪の気持ちで彼女を食事に誘う。昔と同じように楽しい時を過ごした2人は、初めて素直な言葉を口にする。数日後、リタが働く病院のパーティーに出掛けたガスは、そこで薬剤師ドミニク(ヴィンセント・ドノフリオ)と交際中のリーと出会い、彼らがステージでデュエットするのを見てひどく動揺する。誠実なドミニクに好意を持ったリーは、トムとの関係に終止符を打っていた。やがて、ガスとリタが新しい生活を始める日がやってきて、彼がアパートに着いてみると、リタは「自分だけを愛してくれる人を探すわ」と寂しげだが、きっぱりとした口調で告げた。仕事中にポープが事故に遭い、助けようとしたガスもヤケドをして、リタの働く病院に運び込まれた。ガスの見舞いに来たリーに、リタは彼との愛が終わったことを語る。数日後、ガスはリーからドミニクのプロポーズを聞かされる。それは慰謝料からの開放を意味していたが、なぜか素直には喜べないばかりか、奇妙な寂しさが心に漂った。ある夜、リーが帰宅すると庭の木々に無数の豆電球が眩く輝いている。光の中に立つガスが「愛してる。それを形にしたら灯になったんだ」と言った時、彼女は最高の恋人が誰なのか、はっきりと気づいた。