「運命の饗宴(1942)」のストーリー

<第1話>ブロードウエイの美貌の人気俳優ポール・オーマンは、女性ファンが多かったが、目下、富豪ハロウェイと結婚したエセルと不倫の仲であった。折しも彼は新作物の初演の夜をひかえ、舞台で着る夜会服が仕立屋から届けられて来た。みごとな仕立であったが、そのために職人の一人はクビとなり、この服を呪ったという因縁があったが、オーマンは少しも気にしなかった。初演は大成功であったが、彼はアンコールにも答えず、運転手ルーサーに、ハロウェイの別荘へ急がせた。エセルは彼の訪問を喜ばなかった。年とって嫉妬深いハロウェイが怖かったのである。しかしオーマンはやっきとなってエセルを口説き、ブラジルへ駆落することを承諾させる。そこへハロウェイが現れ、オーマンを猟銃で射ってしまう。ハロウェイは銃の暴発だった━━と証言するよう妻に強いる。すると撃たれたオーマンが立ち上がり、すべて芝居だったと言ってその場を立ち去った。しかし自動車に乗込むとその場に倒れこみ、運転手ルーサーに病院へ行くようにと告げるのだった。<第2話>運転手ルーサーは銃痕のある夜会服を抵当に、知り合いの執事エドガーから10ドル借りる。エドガーはその晩主人のハリーが結婚するので夜会服がいるのだ。ところがハリーが朝寝しすぎているところへ、今宵の花嫁ダイアンが訪ねて来る。ダイアンはハリーの夜会服のポケットから、別の女性からのラブレターを見つけた。それに気づいたハリーは、親友ジョージに夜会服を昨晩取違えたことにしてくれと頼む。夜会服を持ち合わせていないジョージに、例の夜会服が小道具として与えられた。取違えの芝居は一応成功したが、ダイアンは今までは男とも思わなかったジョージが、情熱的な恋をすることを意外に思い、彼女はジョージに惹きつけられてしまう。そしてジョージもまた彼女にのぼせてしまった。そこへ意気揚々とハリーが現れたが、ダイアンは彼に婚約指輪を返して、ジョージと手をとり合って去って行った。<第3話>エドガーは、縁起の悪い夜会服を10ドルで質屋に買ってもらう。その夜会服を惚れ惚れと眺めたのは貧しい音楽家スミスの妻であった。スミスは天才的作曲家であるが、酒場のピアノでジャズを叩いている不遇の身である。しかし彼の親友でチェロ奏者のウイルスンが、大指揮者ベリーニにスミス作曲の交響曲を聴いてもらうように懇願を重ねてようやく承諾を得る。その結果、スミスは自作の曲をカーネギー・ホールで指揮することとなる。スミスの妻は質屋から例の夜会服を求めて、ホールの楽屋に届けた。しかし夜会服は肥っちょのスミスには合わなかったが、直す間もなく、彼は夜会服を着て指揮台に立った。だが、彼がタクトを振り始めるや、袖はビリリと裂け、聴衆の大爆笑をかってしまう。夜会服を脱ぎ棄て、演奏の失敗に肩を落とすスミスだったが、ベリーニが静かに立って夜会服を脱いだ。するとそれに拠って男の聴衆は次々と夜会服を脱いでいった。こうして演奏は大成功を収め、スミスは拍手と歓呼とを浴びたのであった。<第4話>スミスの妻は破れた夜会服を縫って、貧民街の慈善ホームに寄付した。ホームの経営者ジョーはその晩、ラリー宛ての郵便を受取る。それは大学の同窓会の招待状だった。今では落ちぶれて、中華街で飲んだくれているラリーは出席を拒むが、ジョーたちに説得され、例の夜会服を来て同窓会に出かけて行った。ところが席上、財布が紛失したため、みな夜会服をぬいで証明することとなる。しかし夜会服の下に正装を着けていないラリーは窮地に陥る。釈明を求められたラリーは、友愛の集りが質疑の会合となったことを論じ、本来の身分を明かして去っていく。紛失したという財布は運転手によって届けられ、一同は顔を見合せた。翌朝、友人たちはホームを訪ねて来て、ラリーに新しい仕事を頼みたいと申し出るのだった。<第5話>ジョーの妻は夜会服を古着屋に売った。2人組の泥棒がそれを盗み出し、紳士淑女の集る賭博場に押入って5万ドルを強奪した。夜会服の強盗は飛行機でメキシコへ逃れる。ところが飛行中、排気管の火焔が夜会服に燃えついたため、あわてた強盗は夜会服を空中から脱ぎ捨る。大金をポケットに入れた夜会服は黒人の農夫リューク夫妻に拾われた。リュークは司祭のラザラスに相談すると、天から降って来たのだから神様のクリスマスの贈物に相違ないということになり、集落の人々に少額ずつ与えられ、教会と病院が建てられることとなった。そして焦げた夜会服は、案山子となって黒人集落の麦畑を番する運命となったのである。

今日は映画何の日?

注目記事