「運命(1928)」のストーリー

ロシアがまだ帝政時代だった頃、一ユダヤ人の家に双生児が生まれ、髪の黒い方をニコライ、赤い方をシュムルカと呼んだ。虐殺が行われた時この一家は匆惶としてアメリカに逃げ渡ったが、シュムルカは誘拐されて行方不明になってしまった。渡米後20年一家は成功して何不足ない境遇になったが、法律家になった息子のニコライはあまり行跡が良くなく、同じロシアの村から来た純真な娘アダを嫌って、ジョシーという素性の良くない女と関係しているらしいのが父母の心配の種だった。しかしニコライも間もなくジョシーが性悪の女ということを知り、縁を切ってアダと結婚した。ところが死んだと思われていた赤髪のシュムルカはユダヤ人の女に養われてジェーソンという名前で呼ばれ同じくアメリカに来ていたが、かのジョシーという女を誤って殺したため殺人犯として法廷に裁かれることとなった。ニコライはこの件の検事に任命された。運命の糸は不思議に操られて双生児の兄弟はそれとも知らず、一方は裁く新進の法官として一方は裁かるる人生の敗残者として法廷に立った。ニコライの母親は傍聴に来ていたが、不思議にジェーソンに心を惹かれた。ニコライの情ある弁論の結果ジェーソンは無罪となった。母親は彼を引き取って世話をしたいと言い出したので、ここに一度別れ別れとなった親子兄弟が一緒になることになった。

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