「栄光と狂気」のストーリー

13歳の時から人生のすべてをボートに注ぎ込んできたティフ・ウッド(コリン・ファーガソン)は、仲間たちが実社会へと散っていく中、オリンピック出場を目指して練習を続けていた。80年、ティフはアメリカ代表チームの主将に選ばれていたが、カーター大統領はソ連のアフガニスタン侵攻を理由にモスクワ・オリンピックのボイコットを宣言。4年後を目標に再び練習に明け暮れるティフは、偶然出会ったジョン・ビグロー(ピーター・マーニック)という若者と意気投合し、練習を共にする。大学時代からティフに思いを寄せているパブの女主人・スリム(ヘレン・シェイヴァー)は、彼がボート選手としては年を取りすぎてしまったのではないかと心配し、ティフ自身もピークを過ぎた自分の選手生命への焦りを強めていた。84年、ロスオリンピック代表の座を狙う選手たちが、ティフの恩師でもあるハリー・パーカー(ケネス・ウェルシュ)の元に続々と集まった。ティフ、ビグローをはじめ、ジョー・ブースカレン(クリストファー・ジェイコブス)、日本人トレーナーのタキ(羽田美智子)を伴った“ポーラーベアー”ネルソン(ジェームズ・ハインドマン)など、そうそうたる顔触れ。大学時代のティフのチームメイトで、今はスポーツライターとして活躍するケイト・ボーデロー(レスリー・ホープ)も取材のため合宿に合流した。ハリーも心中ではティフがシングル代表に選ばれることを願っていたが、オリンピック代表選考レースを制したのはビグローだった。ティフはダブルに照準を変えポールとペアを組むが、根っからのシングル・プレイヤーであるティフはなかなか息が合わせられず、ポールが腕を負傷して合宿を離れてしまう。合宿チームからのダブル代表にはブースカレンとクルーズのペアが選ばれたが、ティフを尊敬するビグローは、ティフとのコンビでダブルの練習を繰り返していた。チームメイトやハリーの怒りを買った二人は合宿を出ることを決意し、ティフはネルソンとペアを組んでダブルの代表選考レースに挑戦する。腕の負傷を克服したポールも独自にペアを見つけて出場し、この二組が激しいデッドヒートを演じた末、ティフたちは一歩及ばず、勝ったのはポールのペアだった。ティフは、ビグローに敗れたレースはでゴールした時に余力があったが、ダブルでは完全燃焼し、敗れたことにも悔いはないと、その思いをケイトに打ち明けるのだった。