「わが緑の大地」のストーリー

遥かなる空の彼方までオレゴンの森林地帯がのび、深い緑におおわれた雄大な大自然。そこでは何代にも渡ってスタンパー一族がきこりとして伐採業者として生き続け、今なお昔ながらの生活を送っていた。“一歩もゆずるな”の焼印を切り倒された巨木に押し、スタンパー一族の気概を誇示している彼らは、持ち前の頑固さで同業仲間や町の者との争いもめずらしくなかった。だが今度の争いは材木の値上げを要求してストライキに入った町中の者との対決。ハンク(ポール・ニューマン)は、父親ヘンリー(ヘンリー・フォンダ)同様製材工場と契約をしている以上、ぜがひでも材木を運びだそうと思っていた。争議は長引き、組合員たちは殺気だっていた。ちょうどそんな時、ハンクの腹違いの弟リー(マイケル・サラザン)が帰ってきた。ヘンリーは10年ぶりに見る息子にあからさまな侮蔑の眼を向ける。ヒッピー・スタイルの長髪や、いかにも都会的な物腰が鼻もちならない。だが今は1人でも多くの人手がいる。リーは翌朝から山へ入り仕事を手伝いだした。町の者との争いは深刻さを加えていった。トラックが崖から落ちた。ブレーキがこわされていたのだ。トラックもなく仕事の期限も迫っていたが、ヘンリーは、誰にも邪魔されずに材木を運び出す方法を思いついた。水かさの増していた川に大木を落とし、いかだを組んで流すというのだ。もう骨折している腕などにかまってはいられなかった。一族の先頭に立って仕事をしたが、伐採中倒れてきた巨木はヘンリーの腕をもぎとり、ジョー・ベン(リチャード・ジャッケル)を下敷きにして河岸の泥地に沈んだ。ハンクは、父やジョーの死にもめげず製材工場との契約を守る決意を変えない。曳き船を借り、大きなイカダで流そうというのだ。リーもやはり誇り高いスタンパー家の血をひいていた。町の者たちが、川のもくずになるに違いないと嘲笑する中を、2人は悠々とイカダを流し始めた。ハンクは曳き舟の上に柱を立て、その先にヘンリーの片腕をしばりつけた。中指の1本がピンと立っていた。その指にはスタンパー一族の気概がこめられているかのようだった。