ここが見どころ
作詞家・小竹正人による同名小説を原作に、青山真治監督が多部未華子主演で映画化。両親が急死し、大都会を見下ろすタワーマンションの高層階に住むことになった直実。喪失感を抱えた彼女の前に現れたのは、同じマンションに住むスター俳優・時戸森則だった。共演は「愛がなんだ」の岸井ゆきの、「パラレルワールド・ラブストーリー」の美村里江、「去年の冬、きみと別れ」の岩田剛典。
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映画専門家レビュー
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フリーライター
須永貴子
喪失感を抱えた主人公が、惑いと迷いを経て自分を立て直す、いわゆる再生もの。本作の主人公は、両親を事故で亡くし、叔父夫婦の計らいで高級タワーマンションで新生活をスタートさせる、文芸編集者。高層階の窓からの風景と、職場の古民家とのコントラストが、彼女の心の揺れをヴィジュアルで表現している。同じマンションに暮らすスター俳優とのメロドラマ仕立てのロマンスや、赤ワインだけを飲み室内でも靴を履いているタワマン族の描写から滲む監督の意思にニヤリとしてしまう。
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脚本家、プロデューサー
山田耕大
高層マンションの39楷に住むというのは、この映画を観ている限り、住み心地がいいとは思えない。出版社勤めの直実が住むこの部屋を時々訪れる人気俳優は、「あなたの夢は?」と直実に聞かれて言う、「地に足をつけること」。誰も地に足をつけていないように見える。おしゃれで知的で空虚な会話。悩みや苦しみ、悲しみにもかけられたベール。観ているうちに鬱々とした気持ちになる。誰かが死ぬんではないかと思っていたら、死んだのは飼い猫だった。この映画をどう楽しんだらいいんだろう。
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映画評論家
吉田広明
人生は長い、だから人と人の関係は仮初の積りでも地獄になる事もある。その中で嘘をつくことも、相手が死んでも泣けないこともあるのだが、それでいい。綺麗ごとでは済まない人生を、その穢れのままに肯定するという話を、小奇麗な高層マンションで描くのは皮肉なのか、懐が深いのか。自分ではどうしようもない事態にいかに立ち向かうか、というより、いかにやり過ごすかという話で、昔なら意気を欠く映画と思ったかもしれないが、これも生き延びる術と思うのはこちらも年を取ったのか。
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「空に住む」のストーリー
郊外の小さな出版社に勤める28歳の小早川直実(多部未華子)は、両親の急死を受け止めきれないまま、叔父・小早川雅博(鶴見辰吾)と叔母・小早川明日子(美村里江)夫婦の計らいで大都会を見下ろすタワーマンションの高層階に住むことになる。まるで“空”に住んでいるかのような感覚をもたらすその空間で寄り添っているのは、長年の相棒、黒猫のハルだけ。職場では後輩で妊婦の木下愛子(岸井ゆきの)をはじめ、気心の知れた仲間たちに囲まれて過ごす直実だったが、それでも喪失感を抱えながら浮遊するように生きる日々。そんな彼女の前に突如として現れたのは、同じマンションに住むスター俳優・時戸森則(岩田剛典)だった。夢のような展開に戸惑いながらも、彼を部屋に招き入れる直実。時戸との出会いによって直実の生活は徐々に変化を見せ始めるが、それでも埋めようのない喪失感は消えることはなかった。彼との夢のような逢瀬に溺れながら、先の見えないことはわかっている。葛藤を乗り越えた末に直実が選ぶ自分の人生とは……。
「空に住む」の映像
「空に住む」の写真
「空に住む」のスペック
基本情報 | |
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ジャンル | ドラマ |
製作国 | 日本 |
製作年 | 2020 |
公開年月日 | 2020年10月23日 |
上映時間 | 118分 |
製作会社 | HIGH BROW CINEMA(制作プロダクション:カズモ) |
配給 | アスミック・エース |
レイティング | 一般映画 |
アスペクト比 | アメリカンビスタ(1:1.85) |
音量 | 5.1ch |
公式サイト | https://soranisumu.jp/ |
コピーライト | (C)2020 HIGH BROW CINEMA |
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