ここが見どころ
生まれつき耳の聞こえない今村彩子が、アスペルガー症候群の友人まあちゃんとの関係に悩みつつ、自分たちの姿を捉えたドキュメンタリー。言葉にならない感情を巡る2人の葛藤から滲む他者に対する理解の理想と現実を通じて、コミュニケーションの本質に迫る。
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映画専門家レビュー
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フリーライター
須永貴子
監督と友人のまあちゃんが、アスペルガー症候群であるまあちゃんを知ろうとするうちに、いつしか監督は自分に向き合い、観客は他者の理解と受容について考えさせられる仕組みになっている。2人のコミュニケーションの齟齬にハラハラするも、毎回監督の家の玄関をまあちゃんが笑顔で開けるショットでリスタート。何度も切り取られるこの玄関のショットが、人間関係の真理を捉え、映像に独特のリズムを与えている。2人の日記から抜粋した手書きの文字もチャーミングな彩りに。
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脚本家、プロデューサー
山田耕大
「ああいう人って人格があるのかね」と元都知事は障害者のことをそう言った。「LGBTは生産性がない」という女性議員の発言は、「意思疎通のできない障害者は人間じゃない」と19人殺した植松聖につながる。日本はどこまで劣化するのか。それに引き換え、「優性思想は私も持っていると感じる時があるから、怖い」と話すまあちゃんの発言のなんと知的な希望! 聴覚障害の彩子監督もうつとアスペが共生しているまあちゃんも可愛い。虚飾なく自分を生きている人はそれだけで魅力なのだ。
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映画評論家
吉田広明
台湾に一緒に旅行に行ったアスペのまあちゃんが、台湾はいろんな人がいるから緊張しなかったという。逆に言えば日本は単一なのだが、それは「普通」を強いてくる社会ということだ。その普通を自分も相手に(自分にも)無意識的に基準としていないかと監督が気づく。その瞬間から監督自身も画面に映りだし、自身被写体になる。マイノリティ自身も内面化している普通=優性思想。監督は二人にとっての常識=普通を探りなおす。普通は一様ではない。「友達」は優性思想への抵抗になる。
みんなのレビュー
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「友達やめた。」のストーリー
空気を読み過ぎて疲れてしまい、人と器用に付き合うことができないアスペルガー症候群のまあちゃん。理解があるような顔で、内心悶々としたものを抱える映画監督のわたし。些細なことで2人の仲がギクシャクするたび、“これって彼女がアスペだから?それとも、私自身の問題なの?”、“わかりあおうとしなくちゃ、いい人でいなくちゃ……”、“ああ、でも……!”と、悩みは尽きない。そこで、まあちゃんと友だちでいるために、私は自分たちに向けてカメラを回し始めた……はずだったのに、辿り着いた答えは“友達やめた”!?
「友達やめた。」の映像
「友達やめた。」の写真
「友達やめた。」のスペック
基本情報 | |
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製作国 | 日本 |
製作年 | 2020 |
公開年月日 | 2020年9月19日 |
上映時間 | 84分 |
配給 | Studio AYA(配給協力:リガード) |
レイティング | 一般映画 |
アスペクト比 | 16:9 |
公式サイト | http://studioaya-movie.com/tomoyame/ |
コピーライト | (C)2020 Studio AYA |
「友達やめた。」のみんなのレビュー
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今日は映画何の日?
NEW今日誕生日の映画人 3/8
- 渡部豪太(1986)
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コスメティックウォーズ
化粧品業界の裏側に切り込んだヒューマンドラマ。老舗化粧品会社のロングセラー商品の機密情報を盗み出すため、産業スパイとして潜入した三沢茜。だが化粧品を作る社員たちと触れ合っていくなか、その熱い想いに触れ、茜は次第に自分の行為に疑問を感じ始める。出演は「嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん」の大政絢、「夏休みの地図」の奥菜恵、「海南1890」の渡部豪太、「東京PRウーマン」の井上正大、「校庭に東風(こち)吹いて」の柊子、「GONIN サーガ」の松本若菜、「The Room」の尚玄、「天空の蜂」の森岡豊、「映画 深夜食堂」の高岡早紀。監督は「東京PRウーマン」の鈴木浩介。音楽を「十三人の刺客」「貞子vs伽椰子」の遠藤浩二が担当する。 -
海難1890
1890年に和歌山県で起きたオスマン帝国の親善訪日使節団を乗せた軍艦エルトゥールル号の海難事故、そして1985年イラン・イラク戦争時にテヘランに残された日本人の救出にトルコが尽力した史実に基づき、日本・トルコ両国の絆や危険を押してでも助けようとする人々を描いた人間ドラマ。エルトゥールル号編とテヘラン救出編の二部で構成される。監督は「利休にたずねよ」が第37回モントリオール世界映画祭最優秀藝術貢献賞に輝いた田中光敏。海難事故に遭遇した医師を「臨場・劇場版」の内野聖陽が演じ、「マイ・バック・ページ」の忽那汐里やトルコ人俳優ケナン・エジェが二役で出演。外務省の後援や、トルコ政府全面協力を受け制作された。 - 鮎川いずみ(1951)
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必殺!III 裏か表か
闇の金融集団と闘う仕事人たちの姿を描く“必殺!”シリーズ第三弾。脚本は「必殺!」の野上龍雄、保利吉紀、中村勝行の共同執筆。監督は「逃がれの街」の工藤栄一。撮影は「必殺! ブラウン館の怪物たち」の石原興がそれぞれ担当。 -
必殺! ブラウン館の怪物たち
徳川家康が建てたという黒谷屋敷の謎をかぎつけた倒幕派と外国人グループと戦う仕事人たちを描く。昨年公開された「必殺!」の第二弾。脚本は「哀しい気分でジョーク」の吉田剛、監督は「港町紳士録」の広瀬襄、撮影は「必殺!」の石原興がそれぞれ担当。
NEW今日命日の映画人 3/8
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