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セメントの記憶

せめんとのきおく TASTE OF CEMENT
上映日
2019-03-23

製作国
ドイツ レバノン シリア アラブ首長国連邦 カタール

上映時間
88分

ジャンル
社会派
  • 手に汗握る
  • 感動的な
  • 怖い
  • おしゃれな
  • 泣ける
  • 可愛い
  • 笑える
  • 重厚感のある
  • かっこいい
  • ほのぼのとした
  • セクシーな
  • スカッとする
  • 親子で楽しめそう
  • 考えさせられる
+ 評価する

ここが見どころ

祖国を亡命した元シリア兵のジアード・クルスーム監督が、喪失と悲しみの記憶を詩的情緒豊かに紡ぎ出す革新的ドキュメンタリー。超高層ビルの乱開発が進むベイルート。そこでは、内戦で家を奪われた多くのシリア人移民が、劣悪な環境で労働を強いられていた。撮影監督は、本作でボストン国際映画祭最優秀撮影賞を受賞したレバノン出身のタラール・クーリ。
祖国を亡命した元シリア兵のジアード・クルスーム監督が、喪失と悲しみの記憶を詩的情緒豊かに紡ぎ出す革新的ドキュメンタリー。超高層ビルの乱開発が進むベイルート。そこでは、内戦で家を奪われた多くのシリア人移民が、劣悪な環境で労働を強いられていた。撮影監督は、本作でボストン国際映画祭最優秀撮影賞を受賞したレバノン出身のタラール・クーリ。

専門家レビュー

ドローンを使った冒頭から、天地がひっくり返る後半のシーンなど、饒舌なカメラワークだ。廃墟の鉄骨が窓のように、ベイルートの美しい海を“中東のパリ”と名高い街並みを切り取り、世界の分断を見せつける。音も意味深だ。瓦礫を踏み進む戦車の音と建設現場のコンクリートを砕く音が重なり合い、破壊と建設の境界線が混沌としていく。さらにシリア人労働者が語る記憶。セメントの味にはよるべない人の匂いが漂う。イメージとサウンドと物語が三位一体となって創られた新しい映画。
およそドキュメンタリーらしい自然さを欠いた、峻厳たるシネエッセーに瞠目させられた。シネエッセーと言えど、誰も一言も言葉を発しない。誰かの回想記が申し訳程度にボイスオフで読み上げられる。内戦からの復興で建築ラッシュに沸くベイルートの景観は、シリア人出稼ぎ労働者には空々しい。彼らの視界は地下からの仰角と高層階からの俯瞰に狭められている。なんという過激な作品だろう。だからこそラストの車載カメラによる回転がこれほど痛切かつ感動的なものとして映るのだ
紛争、破壊、建設。ほとんどの中東の国々はその繰り返しだという。それで原題が「セメントの味」。瓦礫に埋まった人間の舌に、ざわりと残った恐怖の味。そのセメントは高層ビル工事現場の生命となって、そこで働く人間たちの糧ともなる。シリア人移民・難民労働者が日中は空に飛翔し、夜は地下へと潜っていく。この往復の日常が、破壊と建設、その循環の歴史を連想させ。言葉は少ない。キャメラが鋭い。映像感覚と音響で、そこにいるシリア人の若者の内面を描く。ひりひりと美しく。

みんなのレビュー

  • EIGA FAN

    2019年3月18日に投稿
    90
    • 感動的な
    • 重厚感のある
    • 考えさせられる

    ネタバレ

「セメントの記憶」のストーリー

1975年~90年、15年続いた内戦で廃墟と化したレバノンの首都ベイルートは、現在、超高層ビルの建設ラッシュ。その建設現場では、シリア人の移民・難民労働者たちが、基本的人権すら保障されない労働環境で働いている。建設現場と労働者たちが住む地下は一つの穴で繋がっていて、労働者は毎日蟻のようにその穴を出入りする。剥き出しのエレベーターに乗り込み、労働者たちは地上高く登る。ベイルートの美しい町並みと、真っ青な地中海を眺望する現場で労働者たちはセメントを運び、カッターでブロックを切り、ドリルで壁を砕く。そんな彼らの目線の先を巨大なクレーンが轟音を立てながら横切る。夕方。燃え盛る夕日がベイルートの海に沈んでゆく。夜の街を光が灯す。ベイルートの美しい夜景は労働者たちに一日の終わりを告げる。彼らはいつもの穴を通り、まるで巣のような地下へと帰る。街には「午後7時以降、シリア人労働者は外出禁止」と書かれた大きな横断幕が張られている。夜。地下は雨漏りで水浸しになっている。電球の明かりがその水に反射するなか、労働者たちが食事を囲みテレビをつける。レバノン国境で追い返されるシリア人の映像が映し出される。スマートフォンには空爆で破壊されたアレッポ市街の画像が飛び込んでくる。テレビのニュースは拡散するシリア人難民への差別問題や、ダマスカスで政府軍によって使用されたとする毒ガス兵器で苦しむ少女について報じている。一人の労働者が電球を回し、灯りを消して労働者たちは床に就く。ある男が、出稼ぎ労働者だった父がベイルートから持ち帰り、キッチンに貼った一枚の絵の記憶を回想する。その絵には白い砂浜、青い空、そして2本のヤシの木が描かれていた。男が少年の頃に初めて見た海の記憶。待ち焦がれていた父の帰還に少年は、はしゃぐ。顔を撫でてくれた父の手はセメントの味がした。父は少年に「労働者は戦争が国を破壊し尽くすのを待っているんだ」と語る。男は異国の地で父への想いを巡らせる……。

「セメントの記憶」の写真

「セメントの記憶」のスタッフ・キャスト

スタッフ
キャスト役名

「セメントの記憶」のスペック

基本情報
ジャンル 社会派
製作国 ドイツ レバノン シリア アラブ首長国連邦 カタール
製作年 2017
公開年月日 2019-03-23
上映時間 88分
配給 サニーフィルム
カラー/サイズ カラー
公式サイト https://www.sunny-film.com/cementkioku
コピーライト (C) 2017 Bidayyat for Audiovisual Arts, BASIS BERLIN Filmproduktion

「セメントの記憶」のみんなのレビュー

  • EIGA FAN

    2019年3月18日に投稿
    90
    • 感動的な
    • 重厚感のある
    • 考えさせられる

    ネタバレ