盆唄

ぼんうた BON-UTA: A SONG FROM HOME
上映日
2019年2月15日

製作国
日本

上映時間
134分

ここが見どころ

「ナビィの恋」の中江裕司監督によるドキュメンタリー。先祖代々守り続けていた伝統“盆唄”の消滅を危惧しながら避難所生活を送る福島県双葉町の人々が、福島から伝わった盆踊りがハワイの日系人に愛されていることを知り、伝統を絶やすまいと奮闘する姿を追う。アニメーションパートの声の出演は「武士の献立」の余貴美子、「悪人」の柄本明、「パンク侍、斬られて候」の村上淳。第19回東京フィルメックス特別招待作品。

映画専門家レビュー

  • 映画評論家

    上野昴志

    双葉町の盆唄から、ハワイはマウイ島のボンダンスへ。歌と踊りが、太平洋を越えて出会うが、それは、ほんの序の口。本作は、盆唄を軸に、〈別れの磯千鳥〉や〈浜辺の歌〉、さらには〈ホレホレ節〉といった歌を招き寄せるばかりではなく、時空を往還して、ハワイの移民から相馬移民まで、さまざまな移民の物語を紡ぎ出していくのだ。それにより、原発崩壊で故郷を追われた人たちはむろん、さしあたって現在地に安住しているわれわれもまた、移民の末裔にほかならぬことに思い到るのである。

  • 映画評論家

    上島春彦

    試写状に福島とハワイの交流、とちらっと記されており最初にその件が描かれてしまって「もつのか、これ?」と危惧したわけだがもった、どころか大満足である。原発被災のせいで離散した集落、その絆を、盆唄と踊りの復活で取り戻す試みにカメラが密着。集落の起源をたどって北陸に舞台が飛んだり紙芝居になったり、意外な広がりを持つ。クライマックス、集落ごとに違う盆唄が立て続けに歌われる展開を聴いていると、赤の他人の私にすら、様々な感慨がこみ上げてくるのを禁じ得ない。

  • 映画評論家

    吉田伊知郎

    声高に叫ばないのがいい。悲惨な状況を殊更に強調したり、無理矢理希望を持たせる作りでは白けるが、避難住民たちの達観した姿に寄り添い、先の長い道のりに少しばかりの明りを灯す。中盤のアニメーションで語られる相馬移民の挿話が、戦前のハワイ移民と現在の避難民に重なりあい、今もまた長い歴史の只中にあることを実感させる。唄で躍動させてきた中江裕司が撮ると俄然盆唄が際立つ。最初は普段のひっそりとした声から抜け出せなかった唄い手が、やがて大きな歌声を響かせる。

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「盆唄」のストーリー

東日本大震災から4年経過した2015年。散り散りに避難生活を送る福島県双葉町の人々は、先祖代々守り続けていた伝統“盆唄”消滅の危機にひそかに胸を痛めていた。そんなある日、100年以上前に福島からハワイに移住した人々が伝えた盆踊りがフクシマオンドとなって、今も日系人に愛され熱狂的に踊られていることを知る。双葉の人々は盆唄を披露すべく、ハワイ・マウイ島へと向かった。自分たちの伝統を絶やすことなく後世に伝えられるのではという希望を抱きながら奮闘するなか、やがて故郷と共にあった盆唄が、故郷を離れて生きる人々のルーツを明らかにしていく……。

「盆唄」の写真

「盆唄」のスタッフ・キャスト

スタッフ
キャスト役名

「盆唄」のスペック

基本情報
製作国 日本
製作年 2018
公開年月日 2019年2月15日
上映時間 134分
製作会社 テレコムスタッフ
配給 ビターズ・エンド
レイティング 一般映画
カラー/サイズ カラー/ビスタ
公式サイト http://bitters.co.jp/bon-uta/
コピーライト (C)2018 テレコムスタッフ

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映画専門家レビュー

今日は映画何の日?

NEW今日誕生日の映画人 1/20

デイヴィッド・リンチ(1946)

ようこそ映画音響の世界へ

ハリウッドの映画音響に焦点をあてたドキュメンタリー。その進化において大きな偉業を残した「市民ケーン」「鳥」「ゴッドファーザー」などの名作から映画音響の歴史を紹介。さらに、スペシャリストたちと共に“音”が映画にもたらす効果と重要性に迫っていく。出演は「地獄の黙示録」のウォルター・マーチ、「スター・ウォーズ」のベン・バート、「ジュラシック・パーク」のゲイリー・ライドストローム。

デニス・ホッパー/狂気の旅路

個性派俳優でありアメリカン・ニューシネマを代表する「イージー・ライダー」を監督、アーティストとしての顔も持つハリウッドの反逆児デニス・ホッパーの半生を追うドキュメンタリー。関係者の証言や未公開映像を交え、その足跡と映画史における役割を辿る。デニス・ホッパーの大ファンだったニック・エベリング監督が、1970年代初頭から約40年にわたりホッパーの右腕だったサティヤ・デ・ラ・マニトウをはじめ家族や友人・知人らによる数々の証言や、自ら集めた未公開映像をもとに構成。
エヴァン・ピーターズ(1987)

ボーダーライン:ソマリア・ウォー

海賊が蔓延るソマリアで現地取材を行ったジャーナリスト、ジェイ・バハダーの手記を映画化。2008年。伝説のジャーナリスト、シーモアの影響を受けたジェイは、ソマリアの現地取材に向かう。危険な取材の中、使命感を芽生えさせてゆくジェイだったが……。出演は「X-MEN:ダーク・フェニックス」のエヴァン・ピーターズ、「キャプテン・フィリップス」のバーカッド・アブディ、「ワーキング・ガール」のメラニー・グリフィス、「ゴッドファーザー」のアル・パチーノ。

X-MEN:ダーク・フェニックス

特殊能力を持つミュータントたちの活躍を描いた人気シリーズ「X-MEN」第7弾。X-MENの一員であるジーン・グレイが宇宙で事故に遭遇。これによりダークサイドが覚醒し、世界を滅ぼすほどの強大なパワーを持つダーク・フェニックスに変貌する……。出演は前作「X-MEN:アポカリプス」に引き続きジーン・グレイを演じるソフィー・ターナー、「ミスター・ガラス」のジェームズ・マカヴォイ、「エイリアン:コヴェナント」のマイケル・ファスベンダー。「X-MEN:アポカリプス」の脚本を担当するなど、長年にわたってシリーズに携わってきたサイモン・キンバーグが、長編映画初監督を務める。

NEW今日命日の映画人 1/20

オードリー・ヘップバーン(1993)

マイヤーリング

1957年にテレビ番組『プロデューサーズ・ショーケース』の1本として1度だけ全米生放送された作品。以後、目にする機会はなかったが、当時の技術“キネスコープ”で録画されたマスターを復元し、劇場公開が実現した。オードリー・ヘプバーン(「ローマの休日」)とメル・ファーラー(「戦争と平和」)の夫婦共演も話題に。

ローマの休日 製作50周年記念デジタル・ニューマスター版

アメリカン・フィルム・インスティテュートが2000年に発表した“アメリカが生んだ最も素晴らしいラブストーリー ベスト100”の第4位に選ばれた恋愛映画。製作から50周年を迎え、“デジタル・ニューマスター版”として再び公開された。この映画によって、主演のオードリー・ヘプバーンは無名の女優からハリウッド・スターとなった。なお脚本は、当時の赤狩りでハリウッドから締め出されていたダルトン・トランボが、友人のイアン・マクラレン・ハンター名義で初稿を執筆、これにハンターが手を加えたものを、さらにジョン・ダイトンが改稿するかたちで決定稿に至った。初公開時はトランボの名前は伏せられていたが、のちに当時の事情が明らかになり、デジタル・ニューマスター版には新たにトランボの名がクレジットされている。