この世界の(さらにいくつもの)片隅に

このせかいのさらにいくつものかたすみに
上映日
2019年12月20日

製作国
日本

ジャンル
戦争 ドラマ

ここが見どころ

2016年に公開され、第90回キネマ旬報ベスト・テン日本映画第一位を受賞した「この世界の片隅に」に約30分の新規シーンを追加した別バージョン。主人公すずとリンとの交流、妹すみを案じて過ごすなかで迎える昭和20年9月の枕崎台風のシーンなどが追加された。新しい登場人物や、これまでの登場人物の別の側面なども描かれ、すずたちの心の奥底で揺れ動く複雑な想いを映し出す。前作に引き続き、主人公すずをのんが演じるほか、すずの夫・周作を細谷佳正、周作の姪・晴美を稲葉菜月、周作の姉・径子を尾身美詞、すずの旧友・哲を小野大輔、すずの妹・すみを潘めぐみ、すずと仲良くなる女性リンを岩井七世といったボイスキャストも続投。監督・脚本は、前作で第90回キネマ旬報ベスト・テン日本映画監督賞を受賞した片渕須直。

映画専門家レビュー

  • 映画評論家

    須永貴子

    前作に対する世間の絶賛に完全には乗り切れなかったが、本作には文句なしに打ちのめされた。特に、女郎・リンとのシーン。彼女との友情があったからこそ、すずはどんなに過酷な出来事に襲われても、自分を保てたのだな、と。また、現在の日本の空気が、前作が公開された16年よりも戦時中に近づいていることも、この作品が響く理由。食うものに困ったすずが、食材や調理法に工夫をする姿に、「ニンジンの皮を食べて消費税増税に打ち勝つ」という9月の新聞記事が頭をよぎった。

  • 映画評論家

    山田耕大

    素直に語りにくいのは確かだ。なにせ三年前に世の中を席捲したあの「この世界の片隅に」のロングヴァージョンなのだ。いや、ディレクターズ・カットのようなものなんだろうか。詩情あふれるカットの数々に三年前に観た時の記憶が蘇る。あの映画の持つ新しくもあり古くもある独自の抒情はやはり記憶の底深くまでしみ込んでいて、消え去ってはいなかった。が、どうしても前作との見比べ心が出てきてしまい、素直に鑑賞できたかどうか自信が持てない。それにしても、のんはやはりいい。

  • 映画評論家

    吉田広明

    白木リンら娼館の女たちのエピソードが増えることで「戦争」に加えもう一つの理不尽「貧困」が際立つことになる。すずは戦争によって右手を、リンは貧困によって夫を持つ可能性を、それぞれ失う。大切な何かを失うことで彼女らは社会の中の弱者としての位置を自覚し、それでも前に進もうとする。彼女たちが、そこから前に進もうとする根拠となる場所が「片隅」であり「居場所」だ。安易な怒りの表明でも、まして現状肯定でもない、より厳しく、しかし勇気ある道。全ての弱者へのエール。

「この世界の(さらにいくつもの)片隅に」のストーリー

昭和19年、日本が戦争のただ中にあった頃。18歳で広島から呉の北條家に嫁いだすず(声:のん)は、夫・周作(声:細谷佳正)とその家族に囲まれて、新たな生活を始める。だが戦況は次第に悪化、すずたちの生活は困難を極めるが、すずは工夫を重ね日々の暮らしを紡いでいく。そんなある日、すずは迷い込んだ遊郭でリン(声:岩井七世)と出会う。境遇は異なるが、呉で初めて出会った同世代の女性に心通わせていくすず。しかしその中で、すずは周作とリンとのつながりを感じ取るのだった。昭和20年3月、軍港のあった呉は大規模な空襲に見舞われる。その日から空襲はたび重なり、すずも大切なものを失ってしまう。そして昭和20年の夏がやってくる……。

「この世界の(さらにいくつもの)片隅に」のスタッフ・キャスト

スタッフ
キャスト役名

「この世界の(さらにいくつもの)片隅に」のスペック

基本情報
ジャンル 戦争 ドラマ
製作国 日本
製作年 2019
公開年月日 2019年12月20日
製作会社 2019「この世界の片隅に」製作委員会 (製作統括:GENCO/アニメーション制作:MAPPA)
配給 東京テアトル
カラー/サイズ カラー
公式サイト http://ikutsumono-katasumini.jp/
コピーライト (C)2018こうの史代・双葉社/「この世界の片隅に」製作委員会

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映画専門家レビュー

今日は映画何の日?

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エイブ・ヴィゴーダ(2016)

アンダーワールド(1996)

自分と父親を陥れた真犯人を見つけるため、正体不明の謎の男に接近する青年のパラノイアックな復讐劇を描いた異色サスペンス。本作の後「マッド・ドッグス」(日本では98年1月公開)で監督デビューも果たしたヴェテラン俳優ラリー・ビショップ(本作で助演も)の脚本を、「スター・ウォーズ」(美術監督としてアカデミー装飾部門最優秀賞を受賞)、『The Sender』(日本未公開、監督作)のロジャー・クリスチャンの監督で映画化。美術はアキ・カウリスマキ監督作品(「ラ・ヴィ・ド・ボエーム」ほか)でも知られるジョン・エブデン。出演は「ネオン・バイブル」のデニス・レアリー、「アンカーウーマン」のジョー・モントーニャ、「フューネラル」のアナベラ・シオラ、「ゴッドファーザー」のアベ・ヴィゴダ、「シリアル・ママ」のトレイシー・ローズほか。

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ニューヨーク・ハーレムの暗黒街で、ドラッグ売買のトップにのし上がった2人の兄弟の葛藤を軸に展開する、愛と暴力に彩られたブラック・ムービー。監督はキューバ出身で、カンヌ国際映画祭で上映された「クロスオーバー・ドリーム」やテレビ映画「心臓が凍る瞬間」(日本では劇場公開)などの作品があるレオン・イチャソ。脚本はバリー・マイケル・クーパー。製作は「ラブ・クライム 官能の罠」のルディ・ラングレイスと、グレゴリー・ブラウン。エグゼクティヴ・プロデューサーは「ザ・コミットメンツ」のアーミヤン・バーンスタインとトム・ローゼンバーグ、マーク・エイブラハムズの共同。撮影は「ディープ・カバー」「カリフォルニア(1993)」のボージャン・バゼリ。音楽はテレンス・ブランチャードで、ジャズ、ファンク、ソウル、ラップ、ヒップホップ、ブラック・コンテンポラリー、アフリカン・ミュージックからゴスペルに至るまで、さまざまなブラック・ミュージックの挿入曲が全編に流れる。美術は「再会の時」のマイケル・ヘルミー、主人公兄弟の人物造形や作品世界の上でも重要な要素を占める衣装は、「ディック・トレイシー」のエドゥアルド・カストロで、ヴェルサーチ、ヨージ・ヤマモトなどのスーツが使用されている。主演は「ニュー・ジャック・シティ」「デモリションマン」「ドロップ・ゾーン」など出演作が相次ぐウェズリー・スナイプスと、「ストリーマーズ 若き兵士たちの物語」『ファイブ・ハートビーツ』(V)のマイケル・ライト。「クロウ 飛翔伝説」のアーニー・ハドソン、「ビバリーヒルズ・コップ3」のテレサ・ランドルらが共演。